不動産投資における収益還元法(直接還元法とDCF法)を解説

皆さんは収益還元法って聞いたことありますか?既にマンション投資をしている方であれば、お耳にしたこともあるかもしれませんね。

ご存知の通り投資物件の価格はいくつかの査定方法があります。

以前に紹介した「積算評価(原価法)」もそのうちの1つであります。

ただし、ワンルームマンションや区分においては、この積算評価は一棟に比べると不利になってしまいますので、ワンルームマンションに融資する金融機関が評価を出す際は今回の収益還元法を元に融資額を決定しています。

それでは収益還元法について詳しく見ていきましょう。

収益還元法とは?

その物件がどれだけ収益を得られるのか?という収益力に基づいた価格設定の方法です。

物件の稼ぎとは要するに賃料収入のことです。

高い賃料が取れる物件であれば、当然お値段も高くなりますし、賃料が安い物件であれば、当然その分価格も安くなります。

今回の収益還元法を理解するにあたって、以前にこちらのブログでお話しした「利回り」についての知識が必要不可欠ですので、先ずはこちらの記事をお読みください。

ワンルームマンション投資の利回りを【地域・築年】別で徹底解説

そして、収益還元法には2つの評価方法がございます。

  1. 直接還元法
  2. DCF法

です。それではそれぞれについてみていきましょう。

直接還元法

具体的な計算方法

家賃が毎月10万円入ってくる投資用ワンルームマンションがあったとしましょう。

年間の家賃収入は10万円×12カ月=120万円になります。

そして最も大切なのが先ほどお話しした利回りの設定になります。

現在23区内の新築ワンルームマンションの表面利回りは4%程度となりますのでこの数値を参考にして計算してみましょう。

収益還元法による不動産価格=120万(年間家賃収入)÷4%(表面利回り)

この場合ですと、不動産価格は3000万円と導き出すことができます。

なので、下記の2点が設定できれば、それだけで収益還元法による価格を導き出すことが可能となるのです。

・毎月の家賃収入(×12カ月で年間家賃収入)

・利回り

ここで疑問が。

利回りってどこから出せばいいの??ってことです。

今回はあくまで都内の新築ワンルームマンションの相場利回り(4%)を私が設定できたので、価格が導き出せたわけです。

なので、周辺の物件などを良くみて、周辺の相場利回りを自分自身で設定しなければなりません。

物件周辺で売りに出ているワンルームの利回りを片っ端から計算して、おおよそ周辺の相場利回りを算出してもいいですし、利回りの平均相場の見れるサイトもありますので、そういった情報を活用して利回りを算出してもいいかもしれません。

※以下のサイトで希望物件

toushi.homes.co.jp

ただし、利回りは築年数によっても異なりますので、築古の物件と築浅の物件を一律同じ利回りで計算するわけにはいきません。

当然新築に近ければ近いほど利回りは下がりますし、築年数が古くなればなるほど利回りは高くなります。

これと同じ原理で、都心に近ければ近いほど利回りは下がりますし、地方に行けば行くほど利回りは高くなります。

その理由については以下の過去記事をご参照ください。↓

不動産投資における「イールドギャップ」について徹底解説

そういった意味でいえば、ホームズのサイトでは築年数設定まではできないようなので、より正確に計算したい場合は、周辺の同じような広さで、同じ程度の築年数、同じような駅徒歩分数の物件で比較していかなければなりません

非常に地味な作業ですが、相場を理解するためにはその位の努力も必要です。

相場の利回りが6%であれば120万円(年間家賃収入)÷6%=2000万円となります。

利回りが2%異なるだけで、約1000万も価格が違いますので、利回り設定が如何に重要かが理解できるかと思います。

DCF法

DCFは(ディスカウント・キャッシュ・フロー)の略です。

DCF法は、2つの視点によって、導き出すことができます。

  1. 「対象不動産の保有期間中に得ることができる収益(家賃収入)を、現在の価値に置き換えたもの」
  2. 「対象不動産を将来的に売却する際の予想売却価格を現在の価値に置き換えたもの」

という視点ですね。

この2つの合計金額を対象不動産の価格とします

不動産投資において、先ほどの直接還元法は家賃の下落や空室の要素を全く加味しておりません。

ずっと満室で、且つずっと同じ賃料が取れる前提での計算方法です。

なので、例えば毎月10万円の家賃収入が入ってくる物件があったとして、1年間で120万円の賃料収入の取れる物件があったとしましょう。

例えば今すぐに120万円がもらえるのと、1年後に同じ120万円がもらえるのだったら、どちらを取りますか?

もちろん直ぐに手に入る120万円ですよね。

その120万円をなにかしらの形で運用すれば、1年後には120万円以上に増やすことも可能なわけですから。

逆に1年後に120万円がもらえるという約束は本当に守ってもらえるかどうか分かりません。

〇年後という場合は常に不確定要素が付きまといますよね。

こういった理由から、今すぐに貰える120万円の方が1年後に貰える120万円よりは価値が高いということがご理解いただけましたでしょうか?

より具体的に計算する為に投資用ワンルームマンションで計算してみましょう。

毎月の家賃10万円、割引率3%、20年後の価格1700万円、と仮定します(本来であればかかる経費など差し引いて計算しますが、今回は分かりやすいようその辺は省略させていただきます)。

「割引なしのパターン」と「割引率3%のパターン」の比較です。

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20年間で割引なしであれば4100万円、割引率3%であれば2778万円という数字がでました。

約1300万円近くの違いがありますね。

計算方法は、2年目は年間家賃収入120万円に0.97をかけて116.4万円、3年目は2年目の116.4万円に0.97をかけて112.908万円となり4年目は・・・これを繰り返していきます。

売却価格に関しても同様の計算をしていきます。

DCF法の問題点

この計算にはポイントというよりむしろ問題点が2つあります。

  1. 割引率を何%に設定するのか
  2. 20年後の売却価格をいくらに設定するのか

という点です。

この計算式だと20年で賃料収入が約半分になっている計算になってしまいます。

はたして、これは合理的な数字なのでしょうか?

また、価格自体も1700万円という設定をどこから持ってくるのか?などという根本的な問題であります。

不動産はマーケット商品であり、需要が高ければ価格が上がりますし、需要が無ければ価格は下がっていきます。

購入して価格が下がる物件もあるでしょうが、好立地な物件の場合は価格の上昇も考えられます。

また賃貸需要が高いマーケットであれば、賃料も上記のように毎年下がっていくことも考えづらいです。

簡単にいうと、非常に恣意性に左右される計算方法であるということです

そもそもDCF法は価格を割り出すための収益還元法の1つですが、その計算は出すための根拠となる数値設定が非常に難しいということですね。

より正しい数値を出すためにはその根拠となる周辺や該当物件の緻密な調査が必要となります。